『屋久島ジュウソウ』 * 森 絵都 | うたかたおもひ

『屋久島ジュウソウ』 * 森 絵都

著者:森 絵都
タイトル:屋久島ジュウソウ

最近利用している駅の改札には、

出てすぐのところにどこかの旅行会社のテナントがあります。


国内、海外、さまざまなプランのパンフレットが勢ぞろい。


きっと若手の社員が書かされたのであろう、

手書きのポスターがあり、

そこには毎月のお薦め旅行プランがイラスト入りではられています。


先月は、

5月は、屋久島へ行こう!」と題されて、

しょっぽいへっぽこなイラストで

およそ屋久シカであろう薄茶色の生き物が描かれていました。

スニーカー×

トレッキングシューズ○

みたいなものと共にね。


でも、そのポスターが謳うには、

屋久島に行くなら5月が一番島が美しいのだということでした。


そのポスターがうっすらサブリミナル効果を発揮してたんでしょうね。


それで手にしてしまったのがこの本です。

もともと屋久島に猛烈に興味があったわたしは、

もののけ姫が好きすぎるせいでもありますが

あっという間に読み終えてしまいました。


これは作家の森絵都さん

集英社の編集者数人

装丁・挿画・写真を手がける池田進吾(67)さんとで

男子2人、女子3人で仲良くわいわいと屋久島を旅するお話

それとは別に旅にまつわるエッセイの2部で構成されています。


わたしは屋久島にこころ躍らせて手にとったわけですが、

どっちかといえば、

屋久島ではないほうの旅にまつわるエッセイの方が楽しく読めました。

屋久島のイラストや写真はとてもとてもよかったですけれど。


モロッコを旅した際、

出会った少年、ハッサン

彼と作者との交流がとても素晴らしかったです。

旅ってそういうのがいいよね?!ね!

っていう言い様のないわくわく感でいっぱいになってしまいました。


それにしても、

この本から得た重要な知識がもうひとつ。


・・・。


それは、池田進吾さんの年齢について。

このエッセイの中では、

池田さん(30代、男性)と紹介されているではありませんか!

藤谷治さんの本の装丁を数多く手がけてらっしゃるので、

池田さんの描く絵はよく目にしているのです。

それで、勝手に、本当に勝手にですが、

かなりご年配の方というか

ざっくばらんに言っちゃうと初老の方が描いていると思ってました。


そういう筆致だと感じてしまったのです。

そういう安易な考えで、

池田進吾(67)というこの「(67)」という数字を

そのまま67歳と受け取っていたのです。

直木三十五のように、

毎年ネームが変更するのかしら?と思いつつね。

でも、(67)って要するに、

1967年生まれって、そういうことになりますね。


筆致から、初老の方を連想したって表現しましたけど、

それは、老いを感じる筆致ではなくって、

あくまでも柔和と重厚を携えた感じですので、あしからず

それはもう、いきいきと漲ってますよ、エネルギーが。

池田さんの絵は、そういう絵です。


あれ?

なんだか、余計に言い訳くさいな、まったく。